介護職が向いている人・向いていない人|50代未経験から働いて感じたこと

介護職が自分に向いていないのではと悩む女性

「自分は介護職に向いていないのかもしれない」と悩んでいませんか?

介護を始めたばかりの頃は、介助がうまくできなかったり、利用者さんとの接し方に悩んだりすることがあります。

私も50代で未経験から介護職を始め、思うようにできないことがたくさんありました。

実際に働いて感じたのは、介護職に向いているかどうかは、介助技術の上手下手だけでは決まらないということです。

もちろん技術は大切ですが、それ以上に利用者さんの気持ちを考えたり、小さな変化に気づいたりする姿勢も必要です。

この記事では、50代未経験から介護現場で働いた経験をもとに、介護職に向いている人・向いていない人の特徴と、仕事を続けるうえで大切にしたい考え方をお伝えします。

介護職に向いているか考える前に、未経験から介護の仕事を始めたときの仕事内容や大変さを知っておくことも大切です。

  1. 介護職に向いている人の特徴
    1. 利用者さんの気持ちを考えながら介助できる人
    2. 小さな変化に気づき、周囲を見て行動できる人
    3. 相手の話を聞き、自分の接し方を振り返れる人
    4. 嫌なことがあっても、必要以上に引きずらず切り替えられる人
  2. 介護職に向いていないと感じやすい人の特徴
    1. 利用者さんへの対応を面倒くさそうにする人
    2. 自分の都合を優先し、相手の気持ちを考えない人
    3. 自分のやり方を振り返らず、改善しようとしない人
  3. 介護職に必要なのは、介助の技術だけではない
    1. 介護の技術は経験を積みながら身につけていく
    2. 「ヘタでごめんね。うまくなるからね」と伝えていた私の経験
    3. まずは安全を守り、そのうえで利用者さんの気持ちを考える
    4. 介助がうまくできなくても、介護職に向いている人はいる
  4. 利用者さんとうまくいかないときに考えたいこと
    1. 自分が同じ介助をされたらどう感じるか考える
    2. 文句や強い言葉の背景に目を向けてみる
    3. 選択肢を示して、利用者さんの希望を聞く
    4. 自分だけで抱え込まず、必要なときは相談する
  5. 50代未経験だからこそ、これまでの人生経験を生かせる
    1. これまでの人生経験で身につけた、相手の気持ちを考える力
    2. 話すのが苦手でも、相手の話を聞くことはできる
  6. 介護職の向き・不向きは、職場環境によっても変わる
    1. 教育やサポートが不十分だと、誰でも苦労する
    2. 自分に合った職場を選ぶことも、介護職を続けるために大切
  7. まとめ|介護職に向いているか悩んだら、自分を決めつけないで

介護職に向いている人の特徴

介護職に向いている人には、どのような特徴があるのでしょうか。

介護職というと、身体介助の技術や体力が必要な仕事だと思われがちです。
もちろん、安全に介助するための知識や技術は大切ですが、それだけで利用者さんに安心してもらえるわけではありません。

相手の気持ちを考えて接することや、小さな変化に気づくこと、話に耳を傾けることも大切です。
また、仕事の中で嫌なことがあっても、必要以上に引きずらず、気持ちを切り替える力も求められます。

ここでは、50代未経験から介護職を始めた私自身の経験も交えながら、介護職に向いている人の特徴を4つ紹介します。

利用者さんの気持ちを考えながら介助できる人

介護職に向いている人は、利用者さんの気持ちを考えながら介助できる人だと思います。

介護は、介助の技術が上手になればそれでいいという仕事ではありません。

もちろん、安全に介助するための知識や技術は必要です。
ただ、技術は経験を積み、学んでいくことで少しずつ身につけられます。

最初から何でもできる人はいません。
未経験で介護職を始めたばかりなら、うまくできないことがあっても当然です。

一方で、利用者さんの気持ちを考えることは、経験の長さに関係なく意識できます。

実際、介助の技術があっても、利用者さんの気持ちを考えずに対応している職員もいます。

私は、介助に時間がかかっていても、利用者さんのことを思いながら一生懸命に介助している人は、介護職に向いていると思います。

介護は、身体が思うように動かなくなった人のお世話をするだけの仕事ではありません。
利用者さんが、その人らしく生き生きと暮らせるように支える仕事です。

そのためには、食事や入浴、排泄などの身体介助だけでなく、日々の会話や気配りといった心のケアも大切になります。
どちらか一方ではなく、両方を大切にすることが介護だと思います。

介助がうまくできないときこそ、気持ちに寄り添う

介護を始めたばかりの頃は、思うように介助ができないことも多いでしょう。

そんなときこそ、利用者さんへの声かけや気配りを大切にしてほしいと思います。

「こうしたら楽じゃないかな?」
「こんなふうに声をかけたら、安心してもらえるかな?」

そんな小さな気づかいも、相手を思いやることの一つです。

利用者さんの中には、一生懸命に介助している新人職員を見て、励ましてくれる人もいます。
こちらが落ち込んでいると、優しい言葉をかけてくれることもあるのです。

もちろん、すべての利用者さんが言葉で気持ちを伝えられるわけではありません。
認知症の状態などによって、自分の思いをうまく表現できない人もいます。

それでも、相手の表情や反応をよく観察し、安心してもらえる接し方を考えることは大切です。

利用者さんの希望を聞いてみる

相手の気持ちがわからないときは、会話ができる利用者さんなら、直接聞いてみるのも一つの方法です。

「どちらがいいですか?」
「このくらいの強さで大丈夫ですか?」
「痛くないですか?」

こちらが良かれと思ってしたことでも、相手にとっては不快だったり、苦痛だったりすることがあります。

だからこそ、自分の考えだけで進めず、利用者さんの希望や反応を確かめながら介助することが大切です。

そして、迷ったときには、自分が同じ立場だったらどう感じるかを考えてみてください。

自分だったら、どんなふうに接してもらえたらうれしいでしょうか。

相手の立場に立って考え、できることから行動に移せる人は、介護職に向いていると思います。

小さな変化に気づき、周囲を見て行動できる人

介護職にとって、利用者さんの様子をよく観察することも大切です。

いつもと少し違うことに気づければ、体調の変化を早く発見できることがあるからです。

例えば、いつもより食事の量が少ない、歩くときにふらついている、表情が暗い、会話が少なくなったなど、普段の様子を知っていれば気づける変化があります。

こうした小さな変化が、体調の悪化を防ぐための対応につながることもあります。

もちろん、忙しいと目の前の仕事をこなすことに精いっぱいで、周囲を見る余裕がなくなることもあるでしょう。

それでも、利用者さんの様子や周囲の状況に関心を持ち、よく見ることを習慣にしていくと、少しずつ気づけることが増えていきます。

最初から難しく考える必要はありません。

「今日はいつもより元気がないな」
「いつもと歩き方が違う気がする」
「何か気になることがあるのかな?」

そんなふうに、普段との違いに目を向けることから始めればいいと思います。

そして、気になる変化があったときは、そのままにせず、本人に声をかけたり、必要に応じて先輩や看護職に伝えたりすることも大切です。
自分だけで判断せず、周囲と情報を共有することが利用者さんの安全につながります。

また、観察することは、体調の変化を見つけるためだけではありません。

「今日はよく話してくれるな」
「何か気になることがあるのかな?」

といった小さな気づきが、会話のきっかけになることもあります。

観察というと難しいことのように感じるかもしれませんが、相手に興味を持ち、普段の様子を知ろうとすることも大切です。

「なぜだろう?」
「あれ、いつもと違うな?」

そんなアンテナを自然に持てる人は、介護職に向いていると思います。

相手の小さな変化に気づく力は、普段の人間関係でも役立つものです。
日頃から周囲に目を向ける習慣をつけておいて、損はないと思います。

相手の話を聞き、自分の接し方を振り返れる人

人は、自分の話を聞いてもらうことで気持ちが整理できたり、自分の思いを受け止めてもらえたと感じて安心できたりするものです。

介護の仕事でも、利用者さんの話を聞くことは大切です。

自分から話をするのが得意な人もいれば、話すのが苦手な人もいるでしょう。
でも、話すのが苦手だからといって、介護職に向いていないわけではありません。

相手の話に耳を傾け、相槌を打ちながら聞くことも、立派なコミュニケーションです。

利用者さんの表情や声の調子にも目を向けながら、気持ちを受け止めようとする姿勢は、安心して話せる関係づくりにつながります。

もちろん、利用者さんの中には、たくさん話しかけてほしい人もいれば、静かに過ごしたい人もいます。

会話をすることだけが、よい関わり方とは限りません。
相手がどんな接し方を望んでいるのかを考え、その人に合った距離感で接することが大切です。

介護で大切なのは、安心感と信頼関係

私は、介護の仕事で大切なのは、利用者さんに安心してもらえる存在になることだと思っています。

施設に入りたいと思って入所する人ばかりではありません。
住み慣れた家を離れ、慣れない環境で生活することに不安を感じる人もいるでしょう。

そんなとき、「ここにいると安心する」「あの人がいれば話を聞いてもらえる」と思える職員がいたら、心強いのではないでしょうか。

介護職は、食事や入浴、排泄などの介助をするだけではありません。
日々の声かけや会話、相手の気持ちを考えた接し方によって、利用者さんに安心感を与えることも大切な役割です。

介護を始めたばかりの頃は、介助の技術が未熟で、動きがぎこちなくなることもあると思います。
利用者さんも、慣れていない職員に介助されることに不安を感じるかもしれません。

だからこそ、丁寧に声をかけたり、これから何をするのかを説明したり、相手の気持ちを確かめながら介助することが大切です。

もちろん、気持ちに寄り添うだけで安全な介助ができるわけではありません。
必要な知識や技術を身につけながら、安心して任せてもらえる介護を目指していくことが大切です。

自分の接し方を振り返ることも大切

利用者さんとの信頼関係を築くためには、自分の接し方を振り返ることも必要です。

自分ではよかれと思ってしたことでも、相手にとっては違う受け止め方になることがあります。

そんなときに、「自分の対応はどうだっただろう?」「もっと安心してもらえる接し方はなかったかな?」と考えられる人は、少しずつ自分の関わり方を改善していけます。

「普通はこうするもの」「今までずっとこのやり方でやってきた」と決めつけるのではなく、利用者さんの反応を見ながら、どうするのがよいのかを考える。

相手の話に耳を傾け、その人に合った接し方を考え、自分自身も振り返りながら、よりよい関係を築いていける人。

そんな人は、介護職に向いていると思います。

嫌なことがあっても、必要以上に引きずらず切り替えられる人

介護職は、職員同士の人間関係だけでなく、利用者さんやそのご家族、ケアマネジャーなど、さまざまな人と関わる仕事です。

そのため、相性が合わない人がいたり、忙しさからきつい言い方をする人がいたり、利用者さんから厳しい言葉をかけられたりすることもあります。

人と関わる機会が多いからこそ、気持ちが疲れてしまう場面も少なくありません。

そんなときに大切なのが、嫌なことがあっても必要以上に引きずらないことです。

もちろん、何を言われても気にしない人になろう、ということではありません。
傷つくことがあって当然ですし、つらい気持ちを無理に押さえ込む必要もありません。

ただ、言われたことをすべてそのまま受け止めていると、必要以上に傷ついてしまうことがあります。

そこで、相手の言葉だけで判断せず、その背景にどんな事情や気持ちがあるのかを考えてみることも大切です。

例えば、忙しくて余裕がないのかもしれない。
寂しさや不安を抱えているのかもしれない。
もともとの性格や、そのときの体調が関係している可能性もあります。

もちろん、相手の本当の気持ちをすべて理解できるわけではありません。
それでも、「この人は何を伝えたかったのだろう?」と考えてみることで、少し冷静になれることがあります。

利用者さんの言葉の背景を考えてみる

例えば、介助中に利用者さんから「痛い!」と言われることがあります。

そのときは、まず介助を止めて、痛みの有無や身体の状態を確認することが大切です。

一方で、日々の関わりの中では、身体の痛みだけでなく、不安や寂しさなど、さまざまな気持ちが言葉や行動に表れることもあります。

誰かに気にかけてほしいのかもしれないし、自分でもうまく説明できない気持ちを抱えているのかもしれません。

ただ、こちらが勝手に理由を決めつけることはできません。

だからこそ、日頃から優しく声をかけたり、話を聞いたりしながら、その人の様子を知っていくことが大切です。

何気ない会話がきっかけで、これまで気づかなかった不安や事情が見えてくることもあります。

目の前の言葉だけですべてを判断せず、その奥にある気持ちにも目を向ける。
そうした姿勢が、利用者さんを理解することにつながるのだと思います。

職員同士の人間関係でも、言葉をすべて真に受けない

これは、職員同士の人間関係でも同じです。

例えば、経験の浅い自分に対して、先輩介護士がきつく当たってくることがあるかもしれません。

その背景には、忙しさや職場の人間関係など、さまざまな事情がある可能性があります。

例えば、利用者さんが新人職員に「あなたは優しいね」「あなたがいると安心する」と話していたとします。

経験の長い職員が、技術には自信があっても、利用者さんとの関わり方に悩んでいた場合、その言葉を聞いて複雑な気持ちになることもあるかもしれません。

もちろん、先輩がきつく当たる理由は本人にしかわからず、嫉妬や不満が原因だと決めつけることはできません。

ただ、相手の態度をすべて自分のせいだと思い込む必要もないのです。

言われたことの中に改善すべき点があれば、そこは受け止めて次に生かす。
一方で、相手の苛立ちや感情まで、すべて自分が背負う必要はありません。

相手の言葉をいったん分けて考えてみる

きつい言葉を受け取ったときは、まず深呼吸をして、少し落ち着いてみましょう。

そして、相手が伝えたかったことと、苛立ちや不安などから出てきた言葉を分けて考えてみます。

言い方はきつかったけれど、内容には自分が改善すべき点が含まれていることもあります。
その部分は次に生かし、必要以上に自分を責めないことも大切です。

余裕があれば、「なぜこんな言い方になったのだろう?」「本当は何を伝えたかったのだろう?」と考えてみてもいいと思います。

ただし、相手の事情を理解しようとすることと、嫌な言動を我慢し続けることは別です。

暴言や不当な扱いが続く場合は、自分だけで受け止めようとせず、周囲に相談することも必要です。

介護の現場は忙しく、目の前の仕事をこなすだけで精いっぱいになることもあります。

だからこそ、相手の言葉や行動の背景にも目を向ける習慣を身につけておくと、利用者さんとの関係でも、職員同士の人間関係でも役立ちます。

人の感情は難しく、すぐに答えが見つかるとは限りません。

それでも、言葉だけで相手を決めつけず、必要なことを受け取り、それ以外の感情まで抱え込まない。

そうやって気持ちを整理しながら、必要以上に引きずらずに切り替えられる人は、介護の仕事を続けていくうえでも大切な力を持っていると思います。

一方で、利用者さんへの接し方によっては、信頼関係を築くことが難しくなる場合もあります。
次に、介護職に向いていないと感じやすい人の特徴を見ていきましょう。

介護職に向いていないと感じやすい人の特徴

介護職に向いていないと感じやすい人には、どのような特徴があるのでしょうか。

介護の仕事では、体力やコミュニケーション能力、臨機応変に対応する力など、さまざまなことが求められます。そのため、自分の苦手な部分に気づき、「自分は介護職に向いていないのかもしれない」と悩む人もいるでしょう。

ただ、苦手なことがあるからといって、必ずしも介護職に向いていないとは限りません。経験を積んだり、周囲に相談したりすることで、身につけていけることもたくさんあります。

私が介護の現場で大切だと感じるのは、技術や要領のよさだけではなく、利用者さんの気持ちを考えようとする姿勢や、自分の接し方を振り返り、改善していこうとすることです。

ここでは、実際に介護の現場で働いて感じたことを交えながら、介護職に向いていないと感じやすい人の特徴を紹介します。

利用者さんへの対応を面倒くさそうにする人

介護は、利用者さんとの信頼関係が大切な仕事です。

そのため、何かを頼まれたときに、面倒くさそうな態度で対応する人は、介護職には向いていないと感じます。

これは介護に限ったことではなく、人と接する仕事全般にいえることです。

例えば、コンビニに買い物に行ったとき、店員さんが目も合わせず、何を言っているのかわからないような声で話し、別の作業をしながらよそ見をして「ありがとうございました」と言ったら、あなたはどう感じるでしょうか。

きっと、あまり気持ちのよいものではないですよね。

介護も同じです。利用者さんは、食事やトイレ、着替えなど、日常生活のさまざまな場面で職員の手を借りています。自分でできていたことを人に頼らなければならないことに、申し訳なさや不安を感じている人もいるでしょう。

そんなとき、職員が面倒くさそうな態度を見せたら、利用者さんは「頼んではいけなかったのかな」「迷惑だったのかな」と感じてしまうかもしれません。

反対に、目を見て話を聞き、丁寧に対応するだけでも、利用者さんの安心感は変わってきます。

忙しいときや、同じことを何度も頼まれたときなど、余裕がなくなる場面もあると思います。それでも、相手をぞんざいに扱わず、一人の人として尊重する姿勢は忘れないでいたいものです。

自分の都合を優先し、相手の気持ちを考えない人

介護の仕事では、時間内に多くの業務をこなさなければならないこともあります。特に忙しい時間帯は、次の仕事が気になり、つい自分のペースで動いてしまうこともあるでしょう。

しかし、自分の都合ばかりを優先し、利用者さんの気持ちを考えずに行動する人は、介護職には向いていないと感じます。

例えば、着替えやトイレの介助をするとき、職員が早く終わらせたいからといって、利用者さんの返事を待たずに進めたり、動作がゆっくりな人を急がせたりすることです。

職員にとっては毎日の仕事の一つでも、利用者さんにとっては自分の生活そのものです。身体の状態や気持ちは一人ひとり違いますし、自分でできることは自分でやりたいと思っている人もいます。

もちろん、施設では時間や業務の都合もあり、いつでも利用者さんの希望どおりにできるとは限りません。それでも、まずは本人の気持ちを聞き、できるだけ希望に沿える方法を考えることが大切です。

介護は、職員の都合に合わせて利用者さんを動かす仕事ではありません。安全を守りながら、その人の気持ちやペースを尊重することが、安心感や信頼関係につながっていくのだと思います。

自分のやり方を振り返らず、改善しようとしない人

介護の仕事では、介助の方法や考え方を学び続けることが大切です。

利用者さんの状態は一人ひとり違いますし、同じ介助でも、その日の体調や状況によって対応を変えなければならないことがあります。

また、仕事でミスをしたり、思うようにできなかったりしたときは、なぜできなかったのか、どうすればよかったのかを考え、次の行動につなげる必要があります。

最初のうちは、ミスをしたり、うまくできなかったりすることも多いでしょう。未経験で始めたのですから、最初から何でもできなくて当然です。

特に新人のうちは、緊張や焦りから、落ち着いていればできることもうまくできず、落ち込んでしまうことがあります。

そんなときこそ、まずは落ち着いて、できなかった原因を考えてみることが大切です。知識が足りなかったのか、手順を理解できていなかったのか、それとも焦ってしまったのか。原因がわかれば、次に何を学び、どう行動すればよいのかも見えてきます。

これは新人に限ったことではありません。ベテランであっても、自分のやり方を振り返らず、改善しようとしなければ、同じミスを繰り返す可能性があります。介護の現場では、その繰り返しが重大な事故につながることもあるため、注意が必要です。

「今回は何もなかったからいい」「今までこのやり方でやってきたから大丈夫」と済ませるのではなく、なぜそうなったのかを考え、必要に応じて周囲に確認しながら改善していく姿勢が求められます。

また、介護では「もし利用者さんの体調が急に変わったら?」「いつもと違う反応があったら?」と、さまざまな状況を想定しておくことも大切です。知識や経験を積み重ね、対応の引き出しを増やしていくことで、いざというときにも落ち着いて行動しやすくなります。

介護の技術は、経験を積みながら身につけていくことができます。しかし、できなかった原因を考え、学び、次に生かそうとする姿勢がなければ、成長することは難しくなります。

うまくできなかったことを、そのままにしない。なぜそうなったのかを考え、次に生かしていく。

この積み重ねは、安全な介護を行ううえでも、自分自身が成長していくうえでも、大切なことだと思います。

ただ、ここまで紹介した特徴に当てはまる部分があったとしても、それだけで介護職に向いていないと決めつける必要はありません。

大切なのは、自分の苦手な部分に気づき、少しずつ改善していこうとすることです。

では、介護職を続けていくためには、どのようなことを大切にすればよいのでしょうか。

次に、介護職に必要なのは介助の技術だけではない、ということについて考えていきます。

介護職に必要なのは、介助の技術だけではない

介護職に向いているかどうかを考えるとき、介助が上手にできるかどうかを気にする人は多いと思います。

もちろん、安全に介助するための技術は欠かせません。
しかし、介護の仕事で大切なのは、それだけではありません。

利用者さんの気持ちを考えた声かけや、安心してもらえる接し方、信頼関係を築くことも大切な仕事です。

介助の技術は、経験を積みながら少しずつ身につけていけます。
ここでは、私自身の経験を交えながら、技術だけではない介護の大切さについてお話しします。

介護の技術は経験を積みながら身につけていく

介護の仕事では、利用者さんのことを考えながら行動し、相手に合わせた声かけやコミュニケーションを取ることが大切です。

もちろん、安全・安心・安楽な介助ができることも欠かせません。
利用者さんの身体を支える技術や、状況に応じた介助の方法は、知識を学び、経験を積みながら身につけていくものです。

一方で、利用者さんを思いやる行動や言葉は、経験が浅くても実践できます。

例えば、介助を始める前に何をするのか説明する、相手の返事を待つ、不安そうな様子があれば声をかける。
そんな小さな気遣いも、利用者さんの安心感につながります。

実際に介護の現場で働いていると、介助の技術は身についていても、利用者さんの気持ちへの配慮が十分ではないと感じることがあります。
反対に、介助はまだぎこちなくても、相手を思いやりながら一生懸命に関わろうとする人もいます。

介助をする側も、最初は不安です。
そして、介助を受ける利用者さんも、慣れていない職員に身体を預けることに不安を感じるでしょう。

そんなとき、何も言わずに介助を進めるのと、「今からこちらを支えますね」「痛くないですか?」「ゆっくり進めますね」と声をかけながら介助するのとでは、相手の感じ方も変わってくるはずです。

もちろん、思いやりがあれば技術が不十分でもよい、というわけではありません。
安全に介助できるように学び、わからないことは先輩に確認し、できることを増やしていく必要があります。

それでも、利用者さんの気持ちを考えながら一生懸命に関わろうとする姿勢は、経験の浅い新人にも大切にしてほしいことです。

「ヘタでごめんね。うまくなるからね」と伝えていた私の経験

私は実務者研修を受けてから介護の仕事に就きました。そのため、介助の技術だけでなく、声かけや利用者さんへの接し方の大切さも学んでいました。

実際に働き始めてから、この学びはとても役に立ったと感じています。

例えば、美容院で何の説明もなく、いきなり頭を洗われたらびっくりしますよね。

介護も同じです。身体に触れたり、服を着替えさせたりするときには、まず何をするのかを説明し、相手の反応や意思を確認することが大切です。

普段の生活でも、自分が何かをしてもらう立場になったとき、どんな接し方なら安心できるのか、どんな対応をされたら嫌だと感じるのかを意識してみてください。

身近な経験からも、介助を受ける人の気持ちを考えるヒントが見つかると思います。

介護の仕事では、大人になってから初めて経験することも多くあります。

例えば、大人になると人に食べさせてもらったり、服を着せてもらったりすることは、普段の生活ではあまりありません。
そのため、どんな介助が心地よく、どんな接し方なら安心できるのか、想像するのが難しいこともあります。

だからこそ、自分が相手の立場だったらどう感じるかを考えることが大切なのだと思います。

おむつ交換がうまくできず、絶望した新人時代

私も介護の仕事を始めたばかりの頃は、介助がまったくうまくできませんでした。

特に苦労したのがおむつ交換です。

「どうしておむつを1枚替えるだけなのに、こんなに汗だくになるんだろう。
どうして位置がずれてしまうんだろう」

動画を見て勉強しても、実際にやってみるとうまくできている実感がありません。
できない自分に絶望したこともありました。

おむつを1枚もらって、夫や自分自身を相手に練習したこともあります。

でも、あるとき、介助を受ける利用者さんの立場になって考えてみました。

自分が大切な部分を長い時間さらしたまま、目の前では介護士が必死になっておむつを替えている。
自分だったら、恥ずかしいし、落ち着かないだろうなと思ったのです。

それから私は、声かけをしながら、できるだけ会話をして介助することを心がけました。

おむつ交換をするときは、まず自分の名前を伝えました。

そして、「まだ新人で、うまくできずにご迷惑をかけると思いますが、よろしくお願いします」と話し、さらに、「ヘタでごめんなさい。私、絶対にうまくなるから、それまで付き合ってね」

と伝えながら介助させてもらいました。

すると、利用者さんの中には、
「最近、前より早くなったよ」
「最初からできんよね」
「自分でいっぱい練習せい!」

と声をかけてくれる人もいました。

不慣れな私に付き合ってくれたことが、本当にありがたかったです。

また、ただ手を動かすだけではなく、痛くないか、強さは大丈夫かを確認しながら、いろいろな会話をするようにしました。

そうするうちに、少しずつお互いのことがわかるようになり、信頼関係もできていきました。

やがて、おむつ交換のときだけでなく、「今日はうまくできるといいね」といった会話もできるようになりました。

失敗した経験も、信頼関係につながった

もちろん、いつもうまくいったわけではありません。

あるとき、陰部を拭いたときの力が強すぎたようで、利用者さんから「痛い!」と怒られたことがありました。

私はすぐに謝りました。

そして、次に介助するときは、「この強さは痛くないですか?」と確認しながら、こまめに声をかけるようにしました。

その結果、最初は私がくると嫌そうにしていましたが、その利用者さんとは、後にとても仲良くなることができました。

もしあのとき、怒られたことが怖くなり、おどおどしながら介助していたら、相手にも不安が伝わっていたかもしれません。

もちろん、失敗したことを言葉だけで済ませていいわけではありません。
痛みを与えてしまったことを反省し、原因を考え、次は同じことが起きないように改善する必要があります。

それでも、自分の未熟さを認め、相手の気持ちを確認しながら関わることで、少しずつ信頼関係を築いていくことはできるのだと感じました。

まずは安全を守り、そのうえで利用者さんの気持ちを考える

介護の現場では、人手不足もあり、ゆっくり教えてもらえるとは限りません。

「見て覚えて」「とりあえずやってみて」と言われることもあり、実際に介助を経験しながら覚えていく場面もあります。

私も仕事に慣れ、少し気持ちに余裕が持てるようになるまで半年から1年ほどかかりました。

だから、最初からうまくできなくても、自分を責めすぎないでほしいと思います。

ただし、一つだけ忘れないでほしいことがあります。

それは、安全を守ることです。

おむつ交換や着替えの手順がぎこちなくても、正しい方法を学び、練習を重ねることで改善していけます。
一方で、転倒や誤薬、誤嚥など、命に関わる事故につながることは、決して軽く考えてはいけません。

だからこそ、わからないことは確認すること、無理に一人で判断しないこと、介助の前に声をかけることを大切にしてほしいと思います。

最初は自分のことで精いっぱいになり、利用者さんの気持ちまで考える余裕がないかもしれません。

それでも、「今から立ちますね」「痛くないですか?」と一言添えるだけでも、利用者さんの不安を和らげることにつながります。

そして、少し余裕ができたら、先輩の介助手順だけでなく、どんな声かけをしているのか、どうやって利用者さんに安心してもらっているのかも観察してみてください。

そこには、教科書だけでは学びきれない介護の工夫があります。

介助の技術は経験とともに身につけていくものです。
だからこそ、最初は安全を守ることを基本に、相手を思いやる気持ちも大切にしながら、一歩ずつ成長していけばいいと思います。

介助がうまくできなくても、介護職に向いている人はいる

介護を始めたころは、仕事が遅い、失敗が多い、なかなか覚えられないと、「自分は介護職に向いていないのでは?」と悩むことも多いと思います。

でも、最初からうまくできないのは当たり前のことです。

介護の仕事には、自分の身の回りでは何気なくできていることでも、人に対して行うとなると難しいことがたくさんあります。

例えば、立ち上がる動作です。

自分では何も考えずに立っていますが、実際には少し足を引き、前かがみになり、手で身体を支えながら立っています。

利用者さんに立ってもらうときも、こうした身体の動きを理解していないと、簡単な動作でもうまく介助できません。

爪切りや食事介助も同じです。
自分で行うと簡単でも、人に対して行うとなると、どこを確認すればいいのか、どの程度まで行えばいいのか、最初はわからないことばかりです。

だから、慣れないうちは失敗したり、焦ったり、落ち込んだりすることもあるでしょう。

でも、知識を学び、正しい方法を練習していくことで、少しずつ見るべきポイントやコツがわかるようになります。

実際に、ベテランの介護士からも、最初はバスタオルなどを使って練習したと聞きました。
私も自分自身や夫を相手に練習したことがあります。

ただ、介護職に向いているかどうかは、介助の技術だけで決まるものではありません。

介護は、単に身の回りのお世話をする仕事ではなく、その人らしく暮らせるように支える仕事です。

介助が上手でも、無表情で会話がなかったり、利用者さんが怖いと感じるような接し方をしていたりすれば、本当に安心できる介護とはいえません。

もし自分が介助を受ける側だったら、どんな接し方をしてもらいたいでしょうか。

多少ぎこちなくても、笑顔で声をかけてくれたり、自分の気持ちを考えてくれたりする人のほうが、安心できるのではないでしょうか。

もし今、介助がうまくできなくても、利用者さんと話すことが楽しい、少しでも喜んでもらえたらうれしい、ここにいてよかったと思ってもらいたい。そんな気持ちがあるなら、その思いを大切にしてほしいと思います。

話し上手でなくてもかまいません。
相手の返事をうれしく感じたり、どうすれば安心してもらえるか考えたりすることも、介護の大切な力です。

そうした気持ちを土台にして、介助の技術や見守る力を身につけていけばいいのです。

最初はできないことが多く、落ち込む日もあると思います。
でも、利用者さんと関わることに楽しさや喜びを感じられるなら、介護職に向いている可能性は十分にあります。

技術は経験を積みながら身につけていけます。
今できないことだけで、自分は介護職に向いていないと決めつけないでくださいね。

ただ、どれだけ利用者さんのことを考えていても、相性や接し方の違いから、うまく関係を築けないこともあります。

次に、利用者さんとうまくいかないときに考えたいことを紹介します。

利用者さんとうまくいかないときに考えたいこと

介護職として働いていると、利用者さんとうまくいかず、対応に悩むことがあります。

何度声を掛けても拒否されたり、強い言葉を向けられたりすると、「自分の接し方が悪いのだろうか」「どう対応すればいいのだろう」と落ち込んでしまうこともあるでしょう。

そんなときは、相手を変えようとするだけでなく、まず自分の接し方を振り返ったり、利用者さんの言葉や行動の背景を考えたりすることが大切です。

また、本人の希望を聞くことで、今まで気づかなかった思いや好みがわかることもあります。

ただし、すべてを自分一人で解決する必要はありません。
周囲に相談しながら、無理のない関わり方を見つけていくことも大切です。

ここでは、利用者さんとうまくいかないときに試してほしい接し方や、気持ちを抱え込まないための考え方を紹介します。

自分が同じ介助をされたらどう感じるか考える

利用者さんとの関わりがうまくいかないときは、まず「もし自分が同じことをされたら、どう感じるだろう?」と考えてみてください。

これは介護の仕事だけでなく、日常生活のさまざまな場面でも大切なことです。

自分では良かれと思ってしていることでも、相手にとってはそうではない場合があります。

例えば、何の説明もなく身体を動かされたらどう感じるでしょうか。

まだ信頼関係ができていない職員から、いきなり介助を受けるとしたらどうでしょう。

言葉遣いや声を掛けるタイミング、表情など、自分では気づいていない部分で利用者さんを不安にさせていることもあるかもしれません。

そんなときは、少し第三者の目線に立って、自分の接し方を振り返ってみることも大切です。

そして、もう一つ考えてほしいのが、

「もし自分だったら、どうしてほしいだろう?」

ということです。

「自分がされたらどう感じるか」と「自分だったらどうしてほしいか」。この2つをセットにして考えることで、今まで気づかなかった改善点が見えてくることがあります。

他人の考え方や行動を変えることは簡単ではありません。
でも、自分の接し方や考え方なら、少しずつ変えていくことができます。

人は意外と、自分の目線で物事を考えてしまうものです。
相手の立場に置き換えて考えることで、うまくいかなかった関係を変えるきっかけが見つかるかもしれません。

自分だけでは答えが見つからないときは、家族やほかの職員に意見を聞いてみるのもよいと思います。
自分にはなかった視点から、気づきを得られることもあります。

文句や強い言葉の背景に目を向けてみる

介護の現場には、かなり強い口調で怒ったり、何度も文句を言ったりする利用者さんもいます。

対応に困ることも多いと思いますが、こちらまでイライラしたり、嫌だという気持ちを表に出したりすると、それが相手にも伝わり、さらに関係が悪くなってしまうことがあります。

だからといって、弱気になって何でも受け入れればよいわけではありません。
相手の気持ちを考えながらも、必要な場面では落ち着いて対応することが大切です。

利用者さんの性格もありますが、文句や強い言葉の背景を知ると、受け止め方が変わることもあります。

例えば、施設での生活が嫌で、本当は家に帰りたい。
でも、帰れないことも自分でわかっている。そんなやり場のない気持ちを、職員にぶつけてくる人もいます。

もちろん、こちらも人間ですから、強い言葉に傷つくことはあります。

それでも、その人がなぜ怒っているのか、何に不満を感じているのかを考えてみると、単に文句を言っているだけではないことに気づく場合があります。

自宅で好きなように過ごすのが一番だと思っていても、それができない人もいます。
施設では自分の気持ちをうまく表現できない人もいますし、施設の対応や環境に問題がある場合もあります。

そうした中で、つらさや不満を抱えながら暮らしている利用者さんも少なくありません。

また、デイサービスのように自宅へ帰れる場所でも、多くの人が集まることで周囲に気を使い、そのストレスを職員にぶつけてしまう人もいます。

利用者さんの言葉や態度には、これまでの性格や生きてきた環境、人生経験が表れていることもあります。

だからこそ、目の前の言葉だけで判断せず、「なぜ、こんな言葉が出るのだろう?」と考えてみてほしいのです。

そのためには、短い時間でも笑顔で声を掛けたり、日頃からいろいろな話をしたりして、その人を知ることも大切です。

実際に、以前は大声を出したり、落ち着かない様子だったりした人が、別の施設に移った途端、とても穏やかになったというケースを何人も見てきました。

施設の環境や職員の関わり方によって、利用者さんの様子が変わることは、介護の現場では珍しいことではありません。

もちろん、すべての理由がわかるわけではありませんし、無理に我慢して対応する必要もありません。
困ったときは周囲に相談することも大切です。

私自身も、強い言葉を向けられると嫌な気持ちになることがあります。
それでも、目の前の態度だけで判断せず、その人の背景まで考えられるようになりたいと思いながら、日々勉強しています。

選択肢を示して、利用者さんの希望を聞く

仕事をしていると、忙しさのあまり、こちらの都合で介助を進めてしまいがちです。

しかし、人は自分で選ぶことで満足感を得られることがあります。

日常生活でも、自分の好きな飲み物を飲むとホッとしたり、落ち着いたりしますよね。

もし毎回、誰かにお茶だけを出されていたら、たまには違うものが飲みたいと思うこともあるでしょう。

実際、介護を受ける側になると、自分で選ぶ機会が少なくなってしまうことがあります。

そんなときは、「どちらがいいですか?」「どうしたいですか?」「こちらのほうが動きやすいですか?」など、会話をしながら選んでもらうことも大切です。

選択肢は多すぎるとかえって迷ってしまうこともあるので、2つか3つ程度に絞るとよいと思います。

もちろん、「何でもいいよ」という人もいますし、認知症の影響などで選ぶことが難しい場合もあります。

そのようなときでも、「こちらが似合いそうだから、今日はこれにしましょうか」と一言添えるだけで、受け取る印象は変わるかもしれません。

私が以前働いていた施設に、認知症があり、水分をあまり取らない利用者さんがいました。

おやつの時間にコーヒーやゆず茶が出されても、ほとんど口をつけません。

そこで、「〇〇さんは、どんな飲み物が好きなんですか?」と聞いてみました。

すると、その方は紅茶が好きだと教えてくれたのです。

施設長に確認したうえで紅茶を出してみると、今までほとんど飲まなかった水分を、全部飲んでくれました。

その方は、ずっと紅茶派だったそうです。
紅茶を飲むと落ち着くということもわかり、それからはその方に紅茶を出すようにしました。

すると、紅茶だけは飲んでくれるようになったのです。

もちろん、忙しい施設では、一人ひとりに合わせた個別対応が難しいこともあると思います。

それでも、何気ない会話からその人の好みを知ることができれば、日々の楽しみにつながることがあります。

選べることは、私たちが思っている以上に大きな意味を持つ場合があります。

ほんの小さなことでも、本人の希望を聞いてみる。そんな関わり方を、何かのときに思い出してもらえたらと思います。

自分だけで抱え込まず、必要なときは相談する

介助をしていると、周りに比較する対象がなく、自分のやり方で合っているのか、何か悪かったのではないかと悩むことがあります。

そんなときは、職場で相談できる人がいるなら、積極的に聞いてみることをおすすめします。

また、職員だけでなく、利用者さんに意見を聞いてみることも大切です。

実際に、「〇〇さんは少し雑だけど、あなたは丁寧でいいわ」と言ってくれる利用者さんもいます。

介助が遅かったり、まだ上手にできなかったりすることはあるでしょう。
それでも、実際に介助を受けるのは利用者さんです。

もちろん、仕事ですから早くできるようになることも大切です。
ただ、介助の速さを求める理由には、職場の業務上の都合が含まれていることもあります。

利用者さんが自分の気持ちを伝えられる方なら、「やりにくいところはありませんか?」「もっとこうしてほしいことはありますか?」と聞いてみるのもよいと思います。

利用者さんの中には、本当はもっとこうしてほしいと思っていても、何も言わずに介助を受けている人もいます。

自分では気づかなかったことを教えてもらえるかもしれません。

ただし、利用者さんの希望を聞くことと、介助の方法を自分だけで判断することは別です。
安全面や介護計画に関わることは、必要に応じて職員間で確認しましょう。

そして、もう一つ忘れないでほしいことがあります。

それは、自分だけで抱え込まないことです。

介護の仕事は、悩みやストレスを一人で抱え続けると、心身ともに疲れてしまいます。

相談できる職場であれば周囲に頼り、改善できることは一緒に考えてもらいましょう。

一方で、相談しても聞いてもらえない、困っていても助けてもらえない職場なら、環境を変えることも選択肢の一つです。

実際に、相談できない職場で働き続けた結果、うつ病になってしまった知り合いもいます。

自分が健康であってこそ、利用者さんへの介護も続けられます。

無理をして働き続けるのではなく、関わり方を変えるのか、職場を変えるのか、自分の心と身体を守れる環境を大切にしてください。

介護の仕事では、経験を積んで身につける技術も大切ですが、それまでの人生で培ってきた経験が役立つ場面もたくさんあります。

人との付き合い方や相手の気持ちを考える力、仕事や家庭で経験してきたことなど、年齢を重ねてきたからこそ生かせるものもあるのです。

次に、50代未経験だからこそ介護の仕事に生かせる、これまでの人生経験についてお話しします。

50代未経験だからこそ、これまでの人生経験を生かせる

ここまで、利用者さんとの関わり方や、介護の現場で大切にしたいことを紹介してきました。

介護職は未経験でも始められる仕事ですが、50代から新しい仕事に挑戦するとなると、「今までの経験が役に立つのだろうか」「若い人のように覚えられるだろうか」と不安になる人もいると思います。

でも、介護職に必要なのは、介護の知識や技術だけではありません。

これまでの人生で経験してきた子育てや人間関係、仕事で身につけた気配りや相手の話を聞く力も、介護の現場で生かせることがあります。

若い人と同じように動けなくても、50代だからこそ気づけることや、これまでの経験があるからこそ自然にできることもあるはずです。

ここでは、50代未経験から介護職を始めた私が、これまでの人生経験が介護に役立つと感じたことをお話しします。

これまでの人生経験で身につけた、相手の気持ちを考える力

50代未経験で介護職に就くと、最初は何もできない自分が嫌になることがあります。

仕事の手順や利用者さんの名前がなかなか覚えられず、「この歳から新しい仕事を始めるのは無理だったのかもしれない」と落ち込むこともあるでしょう。

若い人のようにテキパキと動けなくても、物覚えに多少時間がかかっても、利用者さんを思いやる気持ちに年齢は関係ありません。

また、これまでの人生経験が介護の現場で役立つこともあります。

仕事や家庭、人間関係など、さまざまな経験をしてきたからこそ、相手の立場に立って考えたり、言葉の裏にある気持ちを想像したりできることもあるでしょう。

利用者さんの多くは、自分の親や親世代にあたる年齢の方です。

年齢を重ねることで感じる不安や、これまで大切にしてきた生活習慣などを、自分の人生経験と重ね合わせて理解できることもあります。

もちろん、同じ世代だからといって、誰もが同じ考え方をするわけではありません。

それでも、これまでの経験を通して身につけた相手を思いやる気持ちや、相手の立場を考える力は、介護の仕事でも生かせる大切な強みです。

今までの経験は、決して無駄ではありません。
50代から介護職を始めるからこそ、生かせることもあると思います。

話すのが苦手でも、相手の話を聞くことはできる

50代でこれまでの人生経験を介護に生かせるとしても、人と話すことが苦手な人もいると思います。

自分から話題を振るのが苦手でも、無理に会話を盛り上げようとする必要はありません。

相手の話を聞きながら、「それでどうなったんですか?」「それは大変でしたね」「昔から好きだったんですか?」など、話を広げたり、もう少し詳しく聞いたりする言葉をいくつか知っておくと、会話のきっかけを作りやすくなります。

また、会話が続かなくても気にする必要はありません。

利用者さんの中には、何を話していいのかわからない人もいます。
無理に話そうとせず、少しずつその人のことを知っていけば、自然と会話のきっかけが見つかることもあります。

利用者さん全員が話好きというわけではありません。

自分の話を聞いてくれる人や、ちょっとした変化に気づいて気にかけてくれる人のほうが、安心できるという場合もあります。

話すのが苦手でも、相手の話を聞くことはできます。
表情や様子の変化を見逃さず、気にかけることができれば、それだけでも安心感や信頼関係につながります。

以前、介護の学校で聞いた話ですが、ある施設にほとんど会話をしない職員がいたそうです。

周囲の人は、利用者さんと会話をしなくても仕事ができるのだろうかと心配していたそうですが、その職員は静かに利用者さんに寄り添っていました。

すると、その接し方を心地よく感じている利用者さんもいたそうです。

コミュニケーションは、言葉の多さだけで決まるものではありません。
相手がどんな関わり方を心地よく感じるのかを考えることも大切です。

また、50代は利用者さんと年齢が近い場合もあり、昭和から平成にかけての時代背景や生活習慣を自然に共有できることもあります。

昔の暮らしや流行、仕事、家族の話など、共通する話題が見つかれば、親近感を持ってもらえるきっかけにもなるでしょう。

話し上手でなくても大丈夫です。相手の話を聞き、その人を知ろうとする気持ちも、介護職に必要な大切な力です。

ただ、介護職に向いているかどうかは、本人の性格や能力だけで決まるものではありません。

教育体制や職員同士の関係など、働く職場の環境によっても、仕事の感じ方や続けやすさは大きく変わります。

次に、介護職の向き・不向きに影響する職場環境について考えてみたいと思います。

未経験者にとって、教育やサポート体制はとても重要です。見て覚えるだけの職場では、わからないことがあっても不安を抱えたまま仕事をすることになります。

介護職の向き・不向きは、職場環境によっても変わる

介護職に向いているかどうかは、本人の性格や能力だけで決まるものではありません。

実際には、職場の教育体制や人間関係、介護に対する考え方によって、仕事のしやすさや感じ方は大きく変わります。

十分に教えてもらえない職場や、相談できる人がいない環境では、経験の浅い人だけでなく、誰でも働きづらさを感じることがあります。

反対に、自分に合った職場に出会うことで、今まで難しいと感じていた仕事がやりやすくなることもあります。

介護の仕事がつらいと感じたとき、すぐに「自分には向いていない」と決めつける必要はありません。

ここでは、教育やサポートが不十分な職場の問題と、自分に合った働き方や職場を見つける大切さについて、実際に介護の現場で働いた経験を交えてお話しします。

教育やサポートが不十分だと、誰でも苦労する

介護に限らず、忙しさを理由に十分な教育を受けられない職場はあります。

経験者なら、これまでの知識や経験を生かして対応できることもありますが、未経験者にとっては大きな負担になります。

よくあるのが、最初に一通り説明を受けたあとは、「実際にやって覚えて」「見て覚えて」という教え方です。

わからないことがあっても聞きづらく、失敗すると文句を言われる。
忙しいときには、きつい言葉が返ってくることもあります。

覚えるのに時間がかかると嫌味を言われることもありますが、これは本当に新人だけの問題なのでしょうか。

すでに仕事を覚えている側にとっては当たり前のことでも、初めて働く人にはわからないことばかりです。

教える側にも余裕がないのかもしれませんが、十分に教えてもらえないまま仕事を任され、できないことを責められても、覚えられるものではありません。

介護の現場には、こうした教育やサポートが不十分な施設もあります。

私が介護の学校に通っていたとき、介護施設の管理をしている先生から、「めちゃくちゃな施設はたくさんあるから、そんなところはすぐにでも辞めたほうがいい」と言われたことがあります。

実際、教育体制が整っていない職場では、新人が定着せず、人がすぐに辞めてしまうこともあります。

もちろん、最初は慣れないことばかりですから、ある程度は努力して覚えていく必要があります。

ただ、教えてもらえない、相談しても聞いてもらえない、失敗を責められるばかりという環境なら、無理をして働き続ける必要はありません。

介護は、人の命や日々の生活を支える仕事です。
十分な知識や技術を教えてもらえないまま介助を続けることは、利用者さんにとっても職員にとっても不安が残ります。

そんな職場では、自分の心が疲れてしまうこともあります。

働き続けるかどうか迷ったときは、少し周りを見てみてください。

利用者さんの表情はどうでしょうか。
働いている職員に笑顔はありますか。
新人に対して、わからないことを教えてくれる人はいますか。
そして、あなた自身はどうでしょうか。

新人教育のマニュアルがない施設もありますし、教えてくれる人がいても、教え方が上手とは限りません。
管理者の考え方や職場の雰囲気によっても、働きやすさは大きく変わります。

職場選びは、ある意味で運に左右される部分もあります。

だからこそ、今の職場が合わないと感じたら、転職を考えることも一つの方法です。
派遣会社や転職エージェントなどを利用して、事前に職場の教育体制や人間関係について情報を集めてみるのもよいでしょう。

一番大切なのは、そこで安心して働き続けられるかどうかです。

介護の仕事を続けたいと思っているのに、職場環境が原因で心身を壊してしまっては意味がありません。

自分を守るために職場を見切ることも、長く介護の仕事を続けるためには大切な選択です。

自分に合った職場を選ぶことも、介護職を続けるために大切

介護の職場は、施設によって仕事内容や雰囲気、介助の方法まで大きく異なります。

同じ介護の仕事でも、働く場所が変われば、驚くほどやりやすくなることがあります。

また、介護施設だけでなく、訪問介護(ヘルパー)やデイサービスなど、働く場所によって利用者さんとの関わり方も違います。
訪問介護の場合は、利用者さんとの相性によって仕事のしやすさが変わることもあります。

職場を変えることで、今まで知らなかった介護のやり方に気づいたり、自分に合った働き方が見えてきたりすることもあります。
新しい職場で、尊敬できる先輩に出会えるかもしれません。

介護の仕事は、さまざまな施設や働き方があることも魅力です。

少し経験を積めば、1日だけの仕事で複数の施設を経験することもできます。
最初からフルタイムで働くのではなく、短時間から始めて、少しずつ仕事に慣れていく方法もあります。

いろいろな職場や人と関わるなかで、自分に合った環境や、やってみたい介護の形が見つかることもあるでしょう。

大切なのは、自分が大切にしたい介護を実践できる環境かどうかです。

介護の現場には、利用者さんに幸せに過ごしてもらいたいという思いで運営している施設もあれば、経営や運営の問題から、職員にも利用者さんにも負担がかかっている施設もあります。

正直なところ、介護の仕事を長く続けているからといって、必ずしも利用者さんに寄り添った介護ができるとは限りません。
経験年数に関係なく、相手の気持ちを考えずに仕事をしている人もいます。

一方で、真面目で優しい人ほど、職場のやり方や人間関係に悩み、自分を責めてしまうことがあります。

本当は介護の仕事が嫌いになったわけではないのに、働く環境に疲れ果てて辞めてしまうのは、とてももったいないことだと思います。

もし、少しでも介護の仕事に楽しさややりがいを感じているなら、介護職そのものを辞める前に、働く場所を変えてみることも考えてみてください。

心や身体の不調は、今の働き方を見直すサインかもしれません。
無理をして自分を追い込む前に、新しい環境へ移る勇気を持ってもいいのです。

介護の仕事に慣れ、利用者さんとの関わり方や介助の技術が身についてくると、仕事の楽しさを感じられるようになることもあります。

一つの職場でうまくいかなかったからといって、自分には介護職が向いていないと決めつけないでほしいと思います。

自分に合った場所を見つけて、できるだけ長く介護の仕事を続けていけたらいいですね。

介護職が自分に向いていないと感じても、実は仕事内容ではなく職場環境が合っていない場合もあります。私自身、職場を変えたことで感じ方が変わりました。

まとめ|介護職に向いているか悩んだら、自分を決めつけないで

介護職に向いているかどうかは、介助の技術や仕事の速さだけで決まるものではありません。

利用者さんの気持ちを考え、相手の立場に立って接しようとすることも、介護職にとって大切な力です。

最初は介助がうまくできなかったり、仕事を覚えるのに時間がかかったりすることもあるでしょう。

それでも、経験を積むことで少しずつできることは増えていきます。
失敗したときに振り返り、次はどうすればよいか考えられることも大切です。

また、介護の仕事がつらいと感じたときは、自分の適性だけでなく、職場環境にも目を向けてみてください。

十分に教えてもらえない、人間関係がうまくいかない、自分が大切にしたい介護ができない。
そんな環境で無理を続けていれば、介護の仕事そのものが嫌になってしまうこともあります。

一つの職場が合わなかったからといって、介護職に向いていないと決めつける必要はありません。
自分に合った職場や働き方を探してみることも、長く仕事を続けるためには大切です。

介護の仕事は、人の生活を支える仕事です。技術は経験を積みながら身につけていけばいいのです。

利用者さんに少しでも安心して過ごしてもらいたい。笑顔になってもらいたい。

そんな気持ちを持っているなら、その思いを大切にしてほしいと思います。

そして、何より自分自身も大切にしてください。

無理をして心や身体を壊す必要はありません。
自分に合った場所で、あなたらしい介護を見つけてほしいと思います。

この記事を書いたひと
うみとそら

[うみとそら]
50代で大阪から岡山へ地方移住をし、それを機に不動産業界から介護職へ転職した実践型移住ブロガー。
【保有資格】 宅建士 / 2級建築士 / 福祉住環境2級 / インテリアコーディネーター / 1級小型船舶操縦士 / 介護士取得中

自身の移住経験に加え、不動産・建築のプロとしての視点、そして地方でのリアルな雇用である「介護」の現場経験を融合させ、移住希望者が最も知りたい「お金・住まい・仕事」のリアルな解決策を体験談を交え発信しています。

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